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一等米比率95%OVER!どんな条件でも旨い米は作れる!

無事に令和5年産の稲刈りが終了し、麓の大切なお米「苗場山麓米」の出荷が進んでいます。
連日のようにメディアで取り上げられる米の品質低下。高温による障害、雨量減少による渇水など、地球環境の変化が生産の現場にも影響を及ぼし始めていることをひしひしと感じています。一等米比率1%未満の地域もある中、当町津南町の一等米比率は30%を超える見込みです。標高や水の豊かさに恵まれた環境が整っていることもあり、他の地域に比べて平均点の高いお米が作れる地域であると自信を持って公言できると思っています。
そんな厳しいと言われた年ではありましたが、私たちの魚沼産コシヒカリ「苗場山麓米」は、一等米比率95%OVERで例年通り良いお米を作ることができました。極端に一等米比率が高いことから、連日多くの取材申し込みをいただいております。どんなお米作りをしているのか、してきたのか、改めて私たちの大切な米作りについて書き留めておきたいと思います。

1.これといって特別なことはしていない

私たちは、「特別なことをしなくても旨い米は作れる」というポリシーの元で米作りに励んでいます。
使用する種籾品種はコシヒカリBL。浸種、すじまき、催芽、苗管理と、芽出しから稲刈りまで、先人から受け継いだやり方をそのまま継承しています。ごく一般的な慣行栽培と、新潟県特別栽培認証米(肥料農薬5割減減)の圃場を分けて管理するだけで、基本的には特別な肥料も使うことはありません。

さいが

自分達では当たり前としている作業ではありますが、とある農業雑誌社の記者さんに言わせると、「皆さんのやっていることは、今の時代では特別なことなのかもしれませんよ」という言葉が強く心に残っています。

2.圃場環境が変わらない(良くない)から、特別でないことが特別になってきている。

圃場

私たちの圃場は、標高約400mから650mほどの中山間地。自動給水栓の設置や区画整理など基盤整備が完璧に行われた圃場は少なく、未だに石の角度や置き方で入水をコントロールする超アナログ式。最近では、自動給水栓だけでなくアプリとの連動システムを駆使し、圃場に行かずとも水の出し入れができるような素晴らしい機器も登場しています。当然私たちも興味はある。
しかしながら、記者さんと一緒に圃場を回りながら会話する中で、「皆さんのやっていることは、今の時代当たり前ではないですよ」という言葉の真意が理解できてきました。
田の水持ちも悪い。水路にU字溝もない。石も多く段差も激しい。こんな劣悪な条件の圃場こそ、目にかけてあげなければいけない。
だから私たちは田の畦は全て足で回る。その中で小さな音や水の動きを捉えて状況を把握する。条件の整った圃場でも、やり方は同じ。
水稲担当の藤ノ木はこう話します。「稲と毎日会話することが一番大事なこと」
この、時代に即していないような私たちのやり方、考え方が当たり前なのか特別なのかという問いに答えはないが、子育てと同じ気持ちで米作りに取り組む姿勢は毎年変わりません。

3.水に恵まれている地域

代かき

ここまで雨量の少ない年だと、さすがに津南の農業用水としての貯水池も枯渇する。
危険値に達すると入水が制限され、輪番制で決められた範囲でしか水が確保できない。しかしながら、私たちの水田の半分は、貯水池に頼らない豊富な水源から直接水を引き込める環境が整っている地域。
皆さんは、ファミリーマートで「津南の水」が売られていることはご存知だろうか。あの水の取水地と私たちの水田に来る水の源は同じ。つまり、皆さんが500mlを100円で購入する水を惜しげもなく米作りに使わせていただいていることになります。
ファミリーマートで販売している津南の水は、おそらく販売されている水の中ではダントツの軟水。しかも水温がかなり低いため、収穫量を確保するといった観点では懸念材料となってしまうこともあったが、ここ数年の高温状況下では、この水温の低さが圧倒的にプラスに働いているとも考えています。
米作りを子育てと考えている水稲担当の藤ノ木はこう話します。「稲たちはこの冷たい水を入れてあげると、暑い日に川やプールに入って喜ぶ子供と同じ表情をするんですよね」。単なる作業としての手順ではなく、「張り」や「立ち」で米の表情を感じていくことも私たちは大切にしています。

4.量を追い求めすぎない

稲刈り

生産者にとって、収量が増えることは収入の増加。みんながそれぞれ10a当たりの収穫量に目標値を設定します。
もちろん収穫量が増えることは嬉しいことだが、私たちはそれ以上に「土や米の自力」を大切にしています。魚沼産コシヒカリが最も美味しい状態になる収穫量の範囲はどこまでか。米作りの歴史が積算したデータや全国表彰をいただくような米の猛者たちの情報は積極的に取り入れる。その範囲で、土壌分析を行い、必要以上の施肥は行わない。これは一律ではなく、一つ一つの田の特徴にも合わせていく。
同じ地域の生産者からは、そんなに少なくて大丈夫?と心配されることもあるが、私たちはデータや実績を大切しています。その中で、少しずつ施肥成分の割合などを変えながら、チャレンジを続けています。

5.面倒くさいを怠らず最後まで妥協しない

籾摺り

こういった暑い年は、中干し期以降の水管理も大切。暑いから水を入れるという作業を例年の常習的なペースで行うのではなく、水温が上がりすぎてないか、水を入れ替えるペースは妥当か、実りを迎えた時期でも私たちは圃場を回るペースは下げません。
今年の全国的な著しい米の品質低下は、心白米、乳心白米、腹白米、背白米、基部未熟米などが多いと伺っています。これは、出穂から登熟期までの水管理が一つの原因であると推測しています。水を入れずに干上がったしまった田、水が煮立ってしまった田、色々あると思うが、この最後の水管理が大きく品質を左右すると考えています。
お米は優秀は作物で、どんな天候状況でも、実はあまり生育日数をずらしません。ほとんどの農家さんも同じことを考えていると思います。
だから日数や葉色で収穫適期を見極める人が多い。しかしながら、今年のような未曾有の年は長年の培った肌感が通用しない。県が示す収穫適期の積算温度も低く、早めの収穫を心がけました。
積算温度は適齢期、でも葉色は青々している。そんな状況で稲刈りを始めた私たちは、「なんでそんなに早く刈るの?」と同じ地域の生産者さんからも疑問を投げかけられたこともありましたが、結果を見ると、あまり長年の勘に頼りすぎないデータに基づいた適期が功を奏したと思っています。

6.丁寧に仕上げる

籾摺り2

精米すると品質の差が見えにくくなるが、玄米でははっきりとその差が出ます。一等米と二等米では透明度や艶に大きな差があります。
この整粒率の差が口に入れた時の食感や味度値に大きく影響するため、心から「旨い」と感じられる米の一つの基準になっていると思います。
籾摺りをして玄米にする作業では、色撰の機械を通し必要最低限の虫食い米や未熟米、心白米を除去して、私たちが手間と時間をかけて作りあげてきた「苗場山麓米」を丁寧に仕上げます。
ライス

麓のお米は、地元のJAやお米お取り引き業者への出荷がほとんどとなりますが、近年個人のお客様からの発注が増えてきました。
1年を通じて販売できる一定量を米専用の冷蔵庫で大切に保管します。
「麓の苗場山麓米は新米の時期だけでなく時間が経っても味が変わらないですね」という声が私たちのお米を選んでくれたお客様からのほとんどの声です。このブログ記事を読んで少しでも興味が湧いた方は、ぜひオンラインショップからご注文いただき、一度食してみてください。米は、粘りや硬さなど好みが分かれる作物です。「旨い」の観点は人それぞれですが、客観的に見て、私たちはまだ、自分達のお米以上に美味しいと思ったお米には出会っていません。今年も自信を持って、提供いたします。

米袋

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※精米時間をいただきますので、発送まで3日〜7日程度いただきます。

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